ひとこと 本文へジャンプ
会長のひとこと


【登山計画書について】

会長の日々思うこと、山の話、道具の話等、毎月更新しています。

  秦野山岳会において登山計画書は会員であれば提出が義務つけられています。但し、以下の場合は提出する必要はありません。

・クラミングゲレンデ(広沢寺、幕岩、城山、城ケ崎、小川山、瑞牆etc)
・アイスゲレンデ(湯川の氷柱、三つ峠etc)
・丹沢でのトレーニング(沢は要提出)
・ガイド山行
・他の団体で行く山行

ゲレンデは通常アプローチが短く遭難リスクが少ないため不要としています。
但し、クライミングでもアプローチが長い場所や、マルチピッチの場合は必要です。
丹沢はトレーニングで頻繁に行くことが多く、なおかつ人が多いので不要とされてきました。但し、昨今は丹沢でも必要かもしれません。
丹沢の沢の場合はバリエーションになり登山道ではありませ、トラブル発生の可能性も高いので必要です。
ガイド山行や例えば山のショップのツアー等は工程を管理できないので提出する必要はありません。それ以外は山の大小に関係なく提出が義付けられています。

 ではなぜ登山届が必要か、一般的に言われるのは遭難した時の救助活動のため、広い山をなるべくポイントを絞って捜索ができるようにするためと言うこを聞きます。
2022年の神奈川県内での山岳遭難事故は過去最多の151件に上ります。遭難者は過去2番目となる175人で、半数は60歳以上が占めました。
遭難の発生状況では「下山中」が111人(63%)で最多、「道迷い」が37人、「疲労」が29人と続いたそうです。
果たして、そうでしょうか、確かに救助活動の助けにはなると思います。でもそもそも遭難ということが起きないようにすべきではないでしょうか、道迷いを起こさないようにする、自分の体力を自覚して自分の技量に合わない山には行かない、もしくは工程に余裕をもつということが重要ではないでしょうか。

 そのためにはまず登山計画書にて工程を作成します。
・工程を確認します、登山口から山頂までのポイント毎の距離、時間、高低差。
・コースタイムより自分が、メンバーが速く歩けるのか、歩けないのか、休憩は入れてあるのか。
・アップダウンが激しくないか、急登が続かないか、鎖場がないか、渡渉はないか。
・何か起きた時のエスケープルートは想定されているのか。
・目安として12:00までに頂上に行けるか、そのためには登山口を何時に出発するのか。
・あるポイントを何時に通過しなければ日没までに下山出来ないので中止するのか。
そのように検討することにより、行く山のシュミレーションが出来ます、いや、シュミレーションしておかなければいけません。
個人装備と共通装備、行く山、季節により装備も変わります、漏れがないようにするためにも装備表のチェックは必要です。
当日の天候について、風は強くないのか、雨は大丈夫か。天候悪化が見込まれれば中止することも必要です。

 登山計画書は遭難が起きた時に必要なのではなく、本来は遭難を起こさせないようにするためのリスク管理なのです。事前にリスクを把握し、トラブルが発生しない様に、もし発生しても対策できるようにするために登山計画書を作成します。そのことを理解しておきましょう。

 令和4年4月19日、神奈川県警察は、株式会社ヤマップと協定を締結しました。神奈川県警察では、山岳遭難等の事故があった場合に、協定に基づいて、これらのシステムに登録された情報を閲覧し、捜索救助活動に活用しています。今回の協定は長野県、群馬県に続き3例目ということです。遭難対策のためいろいろ活動されていますが47都道府県ある中でまだ3例にすぎないのです。まだまだ登山ポストに提出するというのが有効ということになります。
 
 登山計画書の作成意義を理解し、山での遭難事故を起こさないためにも確実にシュミレーションを行い工程を明記しましょう。それとエスケープルートについても確実に確保しておきましょう。実際の山に行く前に、その山をシュミレーションして楽しみましょう。そして、実際に山に行った時に自分のイメージ通りだったのか、それを超えていたのか、そんなことも楽しましょう。(りょうま)